インデックス運用とETF

作成日:2021.11.29(月)、変更日:2021.12.14(火)


Source: 渡邊 雅史氏の講演@第7回オンライン・インデックスフォーラム 2021年11月29日(月), 30日(火)

資料:インデックス運用の拡大と広がる投資戦略

発言概要

米国籍の米国株ETF累積資金フローの継続拡大

P1 of PPT

米国籍の米国株ミューチュアルファンド(Mutual Fund MF)とETFの累積資金フロー(2011年〜2020年)

2011年1月時点の累積資金フローを0とし、以下の数字は2020年7月時点の累積資金フローを示す。

データソース: ICI - Investment Company Institute (米国投信協会)

運用種類

累積資金フロー(10億ドル、大凡)

傾向

インデックス運用(MF)

450

2011年1月から2020年3月までは緩やかな増加傾向で、その後やや減少傾向。

インデックス運用(ETF)

1,900

2011年1月からずっと増加傾向。

アクティブ運用(MF)

-1,950

2011年1月からずっと減少傾向。

世界のETF市場の拡大

P2 of PPT

世界のETFの純資産総額とファンド数の推移(2003年~2021年10月)。

アメリカ、日本、アジアパシフィック(APAC)と比較。

Source: ETFGI ETFGI ETF/ETP growth charts

資産:ETF純資産額(10億ドル) 、数:ETFファンド数

年度

資産・世界

資産・米国

資産・日本

資産・APAC

数・世界

数・米国

数・日本

数・APAC

2003

NA

NA

NA

NA

291

123

19

23

2004

NA

NA

NA

NA

337

157

16

26

2005

NA

NA

NA

NA

451

207

14

34

2006

NA

NA

NA

NA

727

350

14

48

2007

NA

NA

NA

NA

1187

608

16

73

2008

716

NA

NA

NA

1618

704

64

102

2009

1041

NA

NA

NA

1967

778

71

135

2010

1313

NA

NA

NA

2476

902

80

212

2011

1355

938

NA

57

3027

1093

90

324

2012

1754

1212

NA

89

3336

1161

99

412

2013

2254

1612

77

95

3609

1259

107

489

2014

2643

1918

89

117

3984

1377

120

573

2015

2870

2060

134

115

4454

1570

142

707

2016

3397

2465

170

126

4845

1707

150

839

2017

4661

3331

272

166

5311

1834

177

993

2018

4685

3331

306

190

6483

1996

180

1169

2019

6118

4320

398

283

6970

2110

173

1391

2020

7737

5316

529

438

7602

2235

190

1661

2021.10

9729

6839

550

529

8303

2552

205

1940

日本国内ETF市場も成長

P4 of PPT

2021.10時点において、総資産額62兆円、銘柄数212。

ETFGI の情報では、2021.10時点において、総資産5500億ドルで銘柄数205。 (統計上の誤差があるのでは?)

日本で多様な投資家がETFを活用

P5 of PPT

ETF総資産62兆円のうち、主な所有者は下記の通り。

  • 信託銀行 約50兆円

  • 残り12兆円の主な所有者(所有金額の多い順):
    • その他金融機関

    • 都銀地銀

    • 外国法人

    • 生命保険会社

    • 個人その他(1兆円を超える)

    • 証券会社

    • 事業会社

日本国内ETFの歴史

P6 of PPT

野村アセットマネジメントNEXT FUNDSから見る投資対象の多様化の変遷

  • 国内初のETF(上場投信)は1995年の日経300 ETF

  • 2001.7〜 TOPIX・日経225 ETF、TOPIX銀行 ETF

  • 2008.8〜 中国A株上証50 ETF

  • 2009.7〜 NYダウ ETF

  • 2013.5〜 R/NファンダメンタルインデックスETF、JPX日経400 ETF

  • 2017.12〜 外国株式/債券/海外REIT ETF

  • 2018.7〜 新興国株式/債券 ETF

  • 2019.6〜 米国投資適格社債(1-10年)為替ヘッジ ETF

  • 2021.10〜 米国債(7-10年)(為替ヘッジ有/無) ETF

  • 2021.3〜 S&P500(為替ヘッジ有/無) ETF、S&P500ESG ETF

インデックス運用の弊害とその反論

P7,8 of PPT

「パッシブ化の弊害」に関する議論:

  • 市場の価格形成への影響

  • 銘柄間の相関の高まり

  • ボラティリティの高まり

弊害への反論:

  • 投資家へのメリット
    • インデックスの選択自体がアクティブな投資判断

    • 高コストで低パフォーマンスのアクティブ運用からの脱却

    • 多様なニッチエクスポージャーへのアクセスが可能になった

東証上場海外エクスポージャーETF

P9 of PPT

  • 米国株指数ETFの純資産額が急増:S&P500、NASDAQ、ダウ
    • 2014年12月純資産額:250億円

    • 2021年10月純資産額:約4000億円

  • 債券指数ETFの純資産額も急増。
    • 純資産総額に占める割合の大きい順:米国債ETF、先進国債ET、日本国債ETF、米国社債ETF、新興国債ETF。

    • 2014年12月純資産額:100億円未満

    • 2021年10月純資産額:約4000億円

主要米国株価指数

P10 of PPT

  • S&P500

  • S&P500 ESG

  • S&P500ヘッジ

  • NASDAQ100

  • NYダウ

米国株セクター別ETFの年初来累積資金フロー

P11 of PPT

  • 2021年(11月10日まで):
    • 「金融」に最も資金が流入

    • 「情報技術」、「不動産」にも資金が流入

    • 「生活必需品」から資金が流出

  • 2020年:
    • 「情報技術」に最も資金が流入

    • 「ヘルスケア」、「エネルギー」にも資金が流入

    • 「不動産」から資金が流出

日本の業種別インデックス

P12 of PPT

TOPIXとTOPIX-17シリーズ、年次リターンの高い順、2021年(10月まで):

No

業種

年次リターン

1

エネルギー資源

41.84%

2

自動車・輸送機

27.06%

3

鉄鋼・非鉄

27.05%

4

商社・卸売

24.98%

5

銀行

24.65%

6

金融(除く銀行)

23.86%

7

電機・精密

17.87%

8

不動産

17.72%

9

建設・資材

15.02%

10

TOPIX

13.06%

11

運輸・物流

10.34%

12

食品

8.50%

13

情報通信・サービス他

7.94%

14

機械

6.47%

15

素材・化学

6.00%

16

小売

2.73%

17

医薬品

-5.10%

18

電力・ガス

-7.39%

米国株ファクター別ETF

P13 of PPT

ファクターの種類:

  • 中小型

  • グロース

  • バリュー

  • 配当

  • 低ボラティリティ

  • クオリティ

  • モメンタム

日本国内ESG ETFに採用される指数

P15 of PPT

  • JPX日経中小型株指数

  • MSCI日本株女性活躍指数

  • MSCI日本株女性活躍指数(セレクト)

  • MSCIジャパンESGセレクト・リーダーズ指数

  • FTSE Blossom Japan Index

  • 野村企業価値分配指数

  • iSTOXX MUTB Japan 積極投資企業200インデックス

  • STOXX グローバルオートメーション アンド ロボティクス インデックス

  • S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数

  • 日経ESG-REIT指数

  • Solactive Digital Innovation Japan Index

  • S&P 500 ESG指数

  • MSCI Japan Governance-Quality Index

  • FactSet Japan CleanTech & Energy Index

  • FactSet Japan Global Leaders ESG Index

  • MSCI Japan Country ESG Leaders Index

インデックスの多様化

P16 of PPT

  • インデックス=投資戦略?

  • ルールに沿って選択された証券(バスケット)のパフォーマンスを指数化したもの

  • 次々と様々なテーマ型インデックスが登場:デジタル、ロボティクス、ブロックチェーン、フィンテック

インデックス運用の投資ビークル(Vehicle)

P17 of PPT

米国株・国債に投資する際の投資手法の例:

  • 国内籍ETF

  • 海外籍ETF (米国籍)

  • 私募投信 (追加型)

  • 私募投信 (単位型):買付は 当初募集時のみ

  • 現物(株式)

  • 現物(国債)

参考1: ETFの歴史

Source: (本のレビュー)敗者のゲーム

  • 投資信託が長期的に市場平均に勝てない。インデックスファンドは過去10年間、投信全体の80%を上回る成績をあげている。

  • 2007年末時点において、インデックスファンドは全投信市場の5%強を占めるにすぎない。残りの95%はアクティブ運用。

  • インデックスファンドに代わるものとして、上場投資信託(ETF)がある。最初のETFは1993年にステート・ストリートが開発したもので、2013年現在の残高は1000億ドル。投信会社自身が販売・買い入れする投資信託と違い、ETFは証券取引所の特定のインデックスに従う、一定の株式グループに投資するもので、取引所の営業時間帯ならば、いつでも証券会社経由で購入・売却できる。ETFの方が一般の投資信託より運用報酬が安い一方で、取引時には証券会社の売買手数料がかかる。だから、定期的に投資する小口投資家の場合は一般の投資信託の方が有利な場合がある。

参考2: 国または地域毎のETF資産残高(2021.10時点)

Source: ETFGI ETF/ETP growth charts, ETF Assets, as of Oct. 2021

全体に占める割合は、渡邊 雅史氏の講演PPT P2のデータを引用している。

地域

ETF資産(10億ドル)

全体に占める割合

Global

9,729

100%

US

6,839

70.3%

Europe

1,474

15.2%

Canada

267

NA

Asia Pacific

529

NA

Japan

550

5.7%

参考3: 投資信託残高上位10カ国 (2021年6月末)

Source: 投資信託の世界統計最新版(2021年第2四半期)PDF

No.

国名

残高(10億ドル)

1

米国

32,485

2

ルクセンブルグ

6,521

3

アイルランド

4,377

4

中国

3,137

5

ドイツ

2,963

6

オーストラリア

2,577

7

フランス

2,525

8

日本

2,412

9

英国

2,310

10

カナダ

1,820

参考4:世界の投資信託とETFの資産残高遷移

Source: 投資信託の世界統計最新版(2021年第2四半期)PDF

ETF割合はデータを使って計算した。

期間

投資信託(10億ドル)

ETF(10億ドル)

ETF割合

2019Q3

51,595

5,600

10.85%

2019Q4

54,877

6,160

11.23%

2020Q1

47,938

5,144

10.73%

2020Q2

53,872

6,095

11.31%

2020Q3

56,920

6,638

11.66%

2020Q4

63,051

7,684

12.19%

2021Q1

64,627

8,277

12.81%

2021Q2

68,551

9,039

13.19%